しがない宇宙船

４月１６日　PM14:00
あれから３日後・・・俺は秋田県に来ていた。
何を隠そう、スカウトをしにきているのである！今回、スカウトするべき選手は越後しのぶという子らしい。霧子さんにあれだけしごかれたんだ・・・必ずスカウトを成功させてみせる！！・・・と、いうか成功させなければ霧子さんに色々やられる気がする・・・。
霧子さんの情報によると、打たれ強く、反骨心もある選手だということだ。ちなみに彼女もフリー選手なんだとか。正直、俺の団体にとってはそれだけで涙が出るほど嬉しい。あと、驚いたのがその越後って子とディアナ達が知り合いだったらしいんだな・・・これが。
回想　４月１４日　ギャラクシー団体　オフィス
内田「今日もスカウト修行を行っているんですか。社長、おつかれさまです」
オフィスに入ってきた内田が言う。
由羅「ああ・・・内田か・・・。助けてくれ本当に、トイレにも行かせてもらえないんだ」
霧子「由羅さん、無駄口を叩いている暇があったら少しでもスカウト術の本に目を通してください！！」
由羅「ひぃっ！！」
怖い、怖いよ霧子さん・・・。でも何だ・・・怒られているのが何だか心地いい・・・俺の中に眠っている何かが目覚めようとしているのか？
ディアナ「霧子さん、ちょっと・・・怖いデス」
何だ、ディアナも来ていたのか・・・今日も相変わらずかわいいな。
由羅「何？2人とも・・・何かあったん？」
内田「あ、はい実はその・・・社長がスカウトにいく素質のある子がどんな子なのか知っておきたくて・・・教えていただこうかと思って」
なるほど・・・2人とも熱心だな。ライバルになるかもしれない相手だから一刻も早く知っておきたいってわけか・・・へへっ！熱いやつらだぜ。
由羅「ああ、いいよこの子だ」
俺は二人にその子の資料を見せてあげた。
霧子「さあ、早く作業に戻る！！」
由羅「ひぃっ！！」
ちょっとした休息も与えられない・・・。スパルタコーチだぜ霧子さん。
ディアナ「あっ・・・！？この子、しのぶちゃんじゃないですカ！？」
不意にディアナが驚いた声を上げる。内田も同じ表情をしていた。
内田「越後選手・・・ですね」
由羅「何？2人とも知ってる子？」
ディアナ「ハイ！しのぶちゃんとは何回か試合したことがあるんデス！！」
内田「まさか・・・越後選手だったとは。私も彼女とは何度か試合したことがありますね・・・確かに実力のある選手です」
あれ？二人が知っていて試合までしているということは・・・彼女もまた、フリー選手なのか？資料によると年齢は１７歳ってことだから・・・ディアナと内田と同い年ということになるのか・・・。
何か・・・１７歳チームになってるな。
由羅「まさか二人の知り合いだったとはな・・・と、いうことはここで仲良くやっていけそうだな。よーし、がんばってスカウト成功させるぞー！！」
霧子「だから・・・本から目を離さないでください！！」
由羅「ひぃぃぃっ！！」
霧子さんに威圧されている俺を見てディアナと内田は少し同情すらしてくれている表情で
ディアナ「ソ、ソレじゃ社長・・・頑張ってクダサイね！」
内田「彼女が加わればギャラクシーにとっても大きな力になると思います。応援してますね」
と、言って出て行った。
それからも霧子さんのスパルタ教育は続くのであった・・・。
回想終了
由羅「たしかこの辺りでトレーニングしてるんだよな・・・。ってゆうか地図なんか日頃使わないからここまで来るのにえらく苦労したんだけど・・・」
俺は霧子さんに渡された越後しのぶという子の顔写真を頼りに辺りを探してみた。
すると一人のジャージ姿の子が目につく。
あれ？ひょっとし・・・・・・なくてもあの子っぽいな・・・顔写真と相違ない。ランニングしてるっぽいな・・・邪魔をして悪いけど声をかけてみるか。
由羅「あのー、すみません」
声をかけてみたが聞こえなかったのか彼女は俺を横切って行ってしまった。
やばい、見失ってしまう！？俺は急いで彼女を追いかけた・・・・・・が。
由羅「ハァハァ・・・ヒィヒィ・・・」
はええええええ！？！？ちょ・・・追いつけないんですけど！！待ってええええ待って越後さあああああああん！！！！
由羅「くっ・・・・・・うおおおおおおおおおおおお！！！！頑張れ２２歳のこの体ーーーーーーー！！！！」
俺は全力をもって越後選手のもとへと走った。走って走って走り抜いた・・・。明日は筋肉痛確定だった。
由羅「え・・・越後さーーーーん！！ずびばぜええええん！！」
我ながら情けない声と顔だったと思う。っていうか・・・スカウトってほんと大変なんだな・・・選手に追いつくことからはじめないといけないんだな。
越後「・・・呼びました？」
止まってくれた。すごく嬉しかった・・・追いつけたことが。ただ・・・呼び止めといて何だが・・・呼吸困難な状態だ。
由羅「はぁはぁ・・・・ハァハァ・・・ヒィヒィ」
くっそ・・・いきなり汗まみれな男が美少女を呼び止めるって・・・かなり周りから見てもまずいシチュエーションだろこれ・・・ええーい！！変に思われないうちに・・・いやもう思われてるかもしれないけど、単刀直入にいくぜー！！
由羅「えと・・・私、ギャラクシー団体の叶間由羅ともうします」
越後「はぁ・・・」
そして、俺は彼女に入団の話をもちかけた。
越後「なるほど・・・確かに数日前にギャラクシーという団体が出来たのは知っていました。新人テストには行きませんでしたが・・・。ようするにこれはスカウト・・・でしょうか？」
由羅「あ・・・はい、そうですね・・・ハァハァ・・・スカウトということになります。是非うちのリングで戦ってもらえませんか？」
さーて、ここからが霧子さんに叩き込まれたスカウト術の見せ所だな。俺は条件を提示しつつ粘り強く・・・ありえないくらい粘り強く説得をした。
越後「なるほど・・・ディアナや内田もいるんですか。なかなかおもしろそうですね。・・・わかりました、そこまで言うなら、お受けしましょう」
由羅「ほんとですか！？よっしゃーー！！これで生きて帰れ・・・いや、胸を張って帰れる！！」
越後「ただし、イヤになったらすぐ出て行きます。そのつもりで・・・」
由羅「あ・・・り、了解」
なんだかんだでスカウト成功した！！思ったよりすんなり決まってラッキーだったな・・・。
よーし、これで・・・・・・あと・・・３人もたりないんだよな・・・ははは。霧子さんは何か策があるようないい方してたけど・・・ほんと大丈夫なのかな。まあ、とりあえず越後は獲得出来たし今は朗報を持って帰ることだけ考えよう、うん、それがいいそれが・・・けして現実逃避じゃない。

４月１６日　ギャラクシー団体
越後　しのぶ（１７）　入団